この記事では「日本一高い場所にあるホテル立山について春と夏の宿泊を比較」します。
館内設備はもちろん、料理や周辺の景色・気候など季節によって変わるものについても触れます。
何度も宿泊した個人的にお気に入りの宿ですが、2026年の8月末で54年にも渡る営業を終了することが決まりました。
その知らせを聞いて最終の2026年に初めて訪問する方もいるでしょう。
2025年12月の予約開始時に春と夏のどちらに行こうか悩む方もおられると思い記事にしました。
春はゴールデンウイーク、夏はお盆に訪問したときの記録になります。
⇒参考)雲上の楽園「ホテル立山」にお盆宿泊
作成中⇒参考)【黒部立山アルペンルート】GW(ゴールデンウィーク)にホテル立山へ宿泊した動画
日本一高いホテル立山に宿泊するなら春と夏どっち?

ホテル立山は標高2450mに位置する、日本一高い場所にあるホテルです。
1972年に開業以来、黒部立山アルペンルートの象徴として多くの観光客に愛されてきました。
標高2,450mの高地にある宿泊施設とは思えない設備の良さ(立山名水の大浴場、豪華な食事、綺麗な客室、バーがあるなど)は唯一無二です。



周囲には北アルプスの大絶景が広がり、非常に泉質に優れた天然温泉(みくりが池温泉)もあります。
そんなホテル立山ですが、主に2つの要因から2026年8月31日をもって宿泊営業を辞めることになりました。
- 耐震強度不足
- 建て直し資金
1972年開業のため、耐震強度の不足が指摘された。ホテルの土台から作り直す必要があるが、莫大な資金が必要。
運営会社である立山黒部観光会社は主に立山周辺の鉄道輸送を事業としていたが冬場の観光客が少ないなどの問題があり、事業が伸び悩む。資本を本業に集中したい。
星野リゾートがホテル立山の買収を検討し、2026年3月に立山黒部観光会社はホテル立山を星野リゾートへ譲渡。
今後、星野リゾートが建て直しをするにせよ、時間はかかるだろう(ホテル立山に長年勤めているスタッフ曰く6年はかかりそうとのこと)。
*敷地が国立公園内のため同じ場所に建てなければならず、冬場は作業できないため。
閉業前に初めて宿泊したい方も多いと思います。そんな方へ向けて本記事を書いています。
特にホテル立山は春と夏で全く周囲の環境が異なり、楽しみ方も変わります。
季節ごとのホテル立山周辺の環境の特徴と、ホテル立山の設備・食事を中心に紹介します。
ホテル立山周辺の環境

まず、標高2,450mの高所にあるため地上よりもかなり気温が低いです(約-15℃:対地上)。
冬場は雪に閉ざされるため宿泊可能な期間は春〜秋(4月中旬から11月末)に限定されています。
2026年の営業は8月31日で終了するため、春と夏しか宿泊のチャンスがありません。
それぞれの環境について述べます。
春:銀世界

地上の冬です。気温は約0〜10℃であり氷点下になることもしばしば。

豪雪地帯の山なので冬の雪が10m以上も積み上がっており、雪の大谷という観光名所になっています。

これを見るために世界各国から観光客が訪れるほど圧巻の景色です。
また、寒いため近くのみくりが池温泉に浸かっても気持ち良い。

スキーやスノボー板を担いでバックカントリーを楽しむのも良い。
春だけど冬を楽しむなら最高の場所です。
夏:緑の楽園
地上の春です。気温は約10〜20℃であり緑溢れる美しい光景が広がっているため楽園のような環境です。

森林限界を超えており、背の高い木がないため見晴らしも素晴らしく、晴れていれば富山湾を眺めることもできます。

早朝に散歩をすれば、雲海が見られることもしばしば。
北アルプスで最も美しい火山湖であるみくりが池の観光や、雷鳥沢へ降りて雷鳥の観察、弥陀ヶ原や天狗平の散策と見どころがたくさん。

散策や夜の天体観測はホテル立山のスタッフが無料で案内してくれます。
個人的には夏を推したい。
続けて、ホテル立山の設備について説明します。
設備
6階建、全85室の中規模のホテルであり、大浴場、レストラン、売店、ラウンジ、バーなどの設備が充実しています。
外観は古いですが内部は良くメンテナンスされており、クラシカルな高級ホテルと言っても過言ではありません。
大浴場
日本の名水100選である立山玉殿の湧水を沸かした贅沢なお風呂です。

立山の花崗岩層をゆっくりと通過することで、カルシウム、マグネシウムなど多様なミネラルを含んでいます。

温泉ではないですが、ミネラル分が多いため湯上がり後は肌がつやつやします。
レストラン(和食堂たてやま)

朝夕と基本の和食メニューを提供しています。
黒部立山アルペンルートを通って運ばれてきた富山県の食材を使った料理が主です。
夕食はホタルイカやのどぐろなどの海鮮、こごみや白瓜などの野菜、富山のコシヒカリなど海も山も豊かな富山の幸を頂けます。




とても標高2,450mの場所にあるとは思えないほど贅沢で美味しい食事でした。
朝食は鍋とお造りのセットメニュー+ブッフェメニューです。

特にホタルイカ、かまぼこ、昆布〆など富山の名物が充実していますが、そのほかの料理の種類も多い。


50種類以上もの料理が並び、サーモンマリネ、ハム、サラダなどの洋食も揃っています。

また、ライブクッキングのオムレツなどもあり、高級ホテルのブッフェのようでした。
レストラン(洋食堂つるぎ)
夕食時のみ営業している宿泊者専用の洋食を提供しています。
予約時は基本の和食メニューですが3,300円追加すれば頂けます。
バ-(アルペン)

ホテル立山の5階ロビーラウンジの一角にひっそりと併設されています。

利用者がいれば、バーを開けるといったスタイルで当日の18時までにフロントで予約が必要です。

20:30〜23:00(ラストオーダーは22:30)と営業時間は短く、カクテルが千円ちょっととリーズナブル。



何度か宿泊していますが、ホテルの館内案内で紹介されたこともなく、宿泊客が殆ど行かないエリアの端っこにあるため今まで気付きませんでした。

商売っけのないバーです。
9席ありますが当日の利用者は終始、我々だけでした。バーテンダーはカクテルを作れるホテルスタッフが通常業務と兼務で行っています。
ホテル立山や親会社の立山黒部貫光会社の裏話、周囲の隠れ観光スポットなど貴重な話を色々伺えました。
かなり穴場です。
売店

ホテル立山3階に位置し、立山黒部アルペンルート内で最大規模の売店。
ここでしか買えない銘菓(立山星の雫など)や、限定のお酒(佐々成政の隠し酒など)、レアの商品が並んでいます。
個人の感想ですが、ここの限定商品は非常にレベルが高い。特に立山星の雫(試食可能)、白えびせんべい(極)は絶品です。

自分用はもちろん、お土産にすると喜ばれること間違いなしです。

その他、THE NORTHFACE限定のシャツ、立山玉殿の湧水を使ったアルペンルート限定の地ビール「立山地ビール星の空」など限定づくしです。

*支払い方法:クレジットカード、交通系電子マネー、PayPayなどQRコード決済も利用可能
客室
スイートルームを除き、ビジネスホテル並の広さの部屋(18〜26m2)が殆どです。
A、B、Cタイプの3種の部屋があり、設備によって宿泊費が異なります。
バスとトイレが付いている部屋(タイプA)が最も高く、トイレのみ付いている部屋(B,C)が比較的安価です。
BとCタイプでは少しだけBタイプの方が高く、部屋からの眺望が良いです。

✔︎表に記載の料金(1泊2食付)は5/2~5/4、8/22〜8/28です。料金は時期によって変動します。その他の時期の料金は公式ホームページを参照。
設備 | 料金/人 | |
Aタイプ | バス+トイレ | 37400円 |
Bタイプ | トイレ | 34100円 |
Cタイプ | トイレ | 31900円 |
具体例)洋室Bツイン406号室

直近(2025年8月13日)の客室です。
の4階の洋室(ツインベッド)タイプで、テレビ、冷蔵庫、ミニバー、Wi-Fi、コンセントなどの設備は揃っています。

洗面所からは立山玉殿の湧水(日本の名水100選)が流れています。有料で市販されている水が使い放題と考えるとお得な気分になります。
*お風呂はありませんが、大浴場や家族風呂(貸切無料)があります。
2〜4階の客室の内、4階からの景色だったため眺望は良かったです。窓の周りは所々、古さが目立ちますが冬場の環境を考えると仕方ない。

古さが目立つ部分もありますが、総じて1972年の開業とは思えないほど客室は綺麗です。
色んな高原ホテルに宿泊してきましたが、標高2,450mの国立公園内のホテルと考えると十分に快適です。
料金は、お盆ど真ん中の宿泊だったので高かったです(合計金額94,600円(大人47,300円 × 2名))。
観光スポット
北アルプスを一望できる絶景が最高です。何処を歩いても素晴らしい景色ですが、その中でも見ておくべき観光スポットを3つ紹介します。
雪の大谷(春限定)

高さ10m以上の雪の壁が圧巻です。
除雪は巨大なロータリー除雪車を使い、数ヶ月かけて道路を掘り出します。道路の両脇に残った雪が「雪の大谷」となり雪壁の回廊を形成します。
立山室堂の2階から雪の大谷側へ出られます。

✔︎除雪作業のため鑑賞時間に制限(9:30〜15:00)あり。ホテル立山へ宿泊していれば、無料のイベントで制限時間外でも雪の大谷を見に行けます。
*4月中旬のアルペンルート全線開通から、6月下旬頃まで一般公開されますが、7月以降は雪解けが進み、雪壁は低くなって見られなくなります。
みくりが池(夏限定)
面積約30,000平方メートル、深さ15m、周囲631mの室堂で最大・最深の「立山の火山湖」です。積雪が無くなる6月からが見頃。
透明度が非常に高く、晴れた日には湖面に立山連峰が美しく映り込み、「天空の鏡」とも呼ばれます。
室堂駅から徒歩10分ほどで行けるため、観光やトレッキングで人気のスポットであり、湖畔に雷鳥を見かけることもしばしば。
*春でも訪問できますが、みくりが池が雪に埋まっている可能性が高いです(雪に埋まっている動画はコチラ)。

また、雪の大谷側と違って除雪されていないので、長靴か登山靴が必要です(周辺の様子を撮影した動画)。
道中、こういう遊びもできます。
なお、「みくりが池」の名前は「御厨(みくりや)」に由来し、神への供物をととのえる神聖な場所という意味があります。
みくりが池温泉
みくりが池の近くにある日本一高い源泉掛け流しの温泉です(日帰り入浴可:大人1,100円)。


泉質は単純酸性泉(硫黄臭、うす乳白色、白濁)であり、神経痛、筋肉痛、皮膚病などに効能があります。
「レストランみくり」や「喫茶みくり」といった食事可能な設備も備わっています。



宿泊者は温泉を無料で利用可能。
温泉と食事だけではなく宿泊も可能。「山小屋」スタイルの部屋が多く、個室もありますが、相部屋がメインです。
*個室は用意が少なく予約難易度が高いです。
山小屋の宿泊に慣れていない方にとっては個室が充実しているホテル立山か近くの雷鳥荘の方が泊まりやすいかもしれません。
ホテル立山から3階の階段を登ると、みくりが池、みくりが池温泉の方面へ出られます。

春の残雪期にはスノーボードやスキーを楽しむ方が多く、夏はみくりが池や近くの地獄谷の鑑賞、弥陀ヶ原や天狗平の散策をする方が多いです。
大観峰&黒部ダム
室堂から黒部立山アルペンルートの長野側へ降った時に見られる観光スポットです。
大観峰は360°のパノラマスポット。
北アルプス立山連峰や後立山連峰、眼下には黒部湖を望め、特に晴天時には槍ヶ岳・穂高岳方面まで見えます(動画はコチラ)。

ホテル立山から立山トンネル電気バスに乗れば着きます。
トロリーバス:室堂⇆大観峰
大観峰から全長1.7kmのロープウェイとケーブルカーに乗って眼下に見える黒部湖へ降れば黒部ダムへ着きます。
ロープウェイ:大観峰⇆黒部平(動画はコチラ)
ケーブルカー:黒部平⇆黒部湖(黒部ダム)

黒部ダムは高さ186m、長さ492mもある日本随一の大きさを誇るダムです。
1956年着工、7年の歳月と延べ1,000万人以上の作業員を動員して1963年に完成しました。
建設中は「世紀の難工事」と呼ばれ、殉職者171名を出すなど過酷な工事として知られます。
現在は観光スポットとして一般に開放され、長さ約492mの堤体を歩いて渡れ、観光放水の大迫力を間近に楽しめます。
また、黒部湖遊覧船「ガルベ」という日本一高所にある遊覧船も運行しており、約30分のクルーズで、湖から立山連峰やダム堤体を鑑賞できます。
*ガルべは2024年11月で運行終了
食事処も充実しておりレストハウス・ダムカレーでは名物「黒部ダムカレー」などを頂くことも可能。
室堂⇆黒部ダムで6860円は高いですが、大観峰と黒部ダムの絶景は一見の価値ありです。観光放水を見るなら6月以降に行くのがおススメです。
また、ホテル立山に宿泊後、黒部立山アルペンルートを縦断するのもあり。
富山→長野または長野→富山へ抜けて、それぞれの観光地を巡るのも楽しいです。
例えば富山→長野ルートなら以下。
- ホテル立山で1泊する
- 翌日、室堂から長野側へ下る
- 松本や軽井沢で遊ぶ
- 電車で名古屋まで出て新幹線で帰る。または飛行機(松本空港)で帰る、など。
参考:要登山装備)立山の雄山山頂

日本で最もお手軽に、標高3000mから北アルプスの絶景を見渡すことができます。
積雪が無い時期には道も整備され、人気の観光スポットになっています。
一方、積雪があるシーズンは、山頂までの道のりが危ないのでおススメしません。道も整備されておらず、山頂までのルートも分かりにくく、遭難や滑落のリスクがあるからです。
みくりが池と同じく、室堂の3階から行けます。
アクセス(富山側から)
富山駅⇒立山駅

電車で立山駅へ行く場合、富山駅から「富山電鉄」に乗って向かいます。
「JR富山駅」の改札を出て左へ進むと南口に出ます。南口の出入り口を左に進むと「富山電鉄」の駅に着きます。

立山駅までの運賃は1230円で、SUICAやICOCAなど全国的な交通系ICは使えません。(ローカルな「えこまいか」「パスカ」は使えます)

また、乗車券はクレジットカードで購入できず、現金のみの取り扱いです。
立山駅に着いたら南口にチケット販売所でケーブルカーと高原バスのチケットを購入。

✔︎富山⇆大観峰はチケットを纏めて購入しても往復割などは無し。大観峰⇆扇沢は往復割あり。(詳しくは料金表を参照)
南口:郵便ポストがある
ケーブルカーの乗り場へ向かいます。
ケーブルカー乗り場
ケーブルカー乗り場は発車時刻の30分前くらいから混雑し始めます。

景色を綺麗に見られる後部座席を確保する方が多いからです。

乗車時間は約7分と短いですが、日本海の綺麗な景色がバッチリ見えます。
ケーブルカーを降りると美女平。高原バスに乗って約50分かけて室堂へ。

高原バスのポジション取りは進行方向左側の前方がベスト。
バスの運転手によっては写真スポットでバスを停車してくれることがあり落差350mの称名滝や仙洞杉などの写真スポットが1番良く見えます。

ぜひホテル立山で春、夏の快適な滞在を楽しんでください!
以上が「【宿泊記】日本一高い場所にある「ホテル立山」は春と夏どっちに泊まる?」でした。
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